砂の岬69 Nefertiti
 
 気がつけば、トン、シン、そして俺が息を潜めて見守り、あにぃとヤラの吐く荒い息と、接合部の湿った音だけがこの部屋を支配していた。ヤラ自身を含めたここに居る者全員の意識がヤラの穴の中に集中している。俺たちはなんという不思議なものの支配空間にいるんだろう。
 これは、あにぃと俺が抱き合うときとは真逆の空間だ、と俺は思った。あにぃと俺は、囁き、鳴き、呻くが、それは静寂なものなのだ。目の前で繰り広げられているこれは、沈黙の中にありながら静寂とはほど遠い。何かもっとぎらぎらした原色のもの・・・時間が止まってしまったように凝縮され、原色の意識だけが高速で駆け巡るもの・・・「戦」という言葉が一瞬、俺の脳裏をかすめた。人が殺し合うとき、動物が生存を賭けて戦うときにも、こんな感じの沈黙があるんじゃないだろうか?
 
 あにぃの動きが激しくなると、ヤラは首を左右に振り、のけぞり、はじめて鳴き声をあげた。ヤラは鳴き声と泣き声が混じったような奇妙な切羽詰まった声を断続的にあげ、自分から腰を激しく動かし始めた。
 あにぃは、急に動きを止め、ヤラの一番奥を突いたまま動きを止めてじっとヤラを観察した。ヤラは、自分の腹の中の大きな波動に突き動かされるように、その大きな尻を上下左右に回転させる。
 ヤラは自分の動きで自分を刺激されて泣き叫ぶ。あにぃは、花の中心に針を突き刺した蝶のように、ヤラにぽを突き刺したままじっと動かない。
 ヤラは、花の中心を蝶の針に刺されたまま、乱れ、狂い、獣のような叫び声を長くあげ、身体全体を痙攣させた。ヤラが達したとき、身体の中心の装置があにぃの体液を強烈な力で吸い上げた。
 あにぃも、獣のような大きな唸り声をあげた。
 
 俺は吸われるあにぃを凝視していた。あにぃは異界に連れ去られなかった。あのいつもの美しい空白の時も、あにぃには訪れなかった。その代わり、俺は天馬に変身するあにぃの幻覚を見た。あにぃは天馬になってヤラに吸われた、と思った。
   
 
 
砂の岬70 Nefertiti
 
 獣の沈黙を破ったのはシンだった。
 「仕上げたな。まさかヤラがあんな腰使うとは思わなかった。驚いた」
 あにぃが身体を離しても、ヤラは逆さまのハエの形のままそこに転がっている。ヤラの穴から白液がこぼれるのを確認すると、シンはヤラを縛っていた縄を解いた。
 「ヤラ、アニのぽがそんなに良かったか」とシンはいたわるようにヤラに語りかけ、水で絞った布で身体を拭いてやる。
 汗だくの自分の身体を拭きながら、あにぃが言った。
 「シンの助言通り、鞭使ったのも最後まで縛ってたのも正解だった」
 「ヤラとはあと4日ある。糞暑い中大変だが嫌がらずにがんばってくれ」
とシンは言う。
 「いや、全然嫌じゃ無い。うまく表現できないが、種付ってものに今日少し目覚めた気がするよ。癖になってしまいそうだ。俺は少し変態なのかな」
とあにぃは真面目な調子で言う。
 「まあそういわず、ヤラが終わったら、普通の良血にも、普通の付け方でまた付けてくれや」
 とシンはあにぃに微笑む。
 「疲れるようだったら、一日抜かしてもいいんだぞ」
 とトンが気遣ったが、
 「いや、全部やらせてもらうよ」
 とアニは答えた。
 
 今日のは普通の付け方とは違うのか。それなら普通というのも見ておかないといけないな。しかしヤラがそんなに凄いということなら、最終日ももう一度見ておいたほうが良いな、と俺は思った。
 
 
砂の岬71 Nefertiti
 
 覗いていたのがバレていないだろうな、とドキドキしながら小屋であにぃを待っていると、水浴びを終えたあにぃが帰ってきた。あにぃの様子を見て、俺は驚いた。種付けのときのあにぃと全く違い、しおれた花のように弱々しい。
 「あにぃ、疲れたのか?」
と俺が聞くと、あにぃは
 「いや」
と言ったきり、無言で俺を抱きしめた。
 「あにぃ、どうしたんだよ?」
と言った後、こういうときは何も聞かずに抱きしめてやるのが男だな、俺もまだ男としてのカッコツケが足りないと思う。俺もあにぃをぎゅっと抱きしめ、しばらくそのまま居る。夏風邪でもひいたのか?急に熱が出たのか?と思って額に手をあててみるが、そんな様子も無い。
 
 急に「ナギ、甘えさせてくれ」と言ってあにぃは俺の上衣を剥ぎ、俺の乳首に吸い付いた。
 あにぃは強さと弱さの振れ幅がとても大きい人だ。昔はそれがわからなかったが、最近あにぃは、俺に弱さも見せる。というより俺にだけは、弱さを見せてくれるようになったというべきだろうか。
 あにぃの髪を撫でながら、あにぃの背中も撫でてあげる。こういうときは、乳首を吸われてもぜんぜんくすぐったくならない。年上のあにぃをかわいくて愛しくてしかたがない、と思う気持ちで一杯になる。
 
 確かに、あにぃは強い風神様の生まれ変わりだ。でも、あにぃも人間なのだ。あにぃは、生まれてからこのかた、誰にも甘えたことが無かったと思う。
 俺と一緒に暮らす前、あにぃはトンと一緒に暮らしていたが、トンとあにぃの関係は、あにぃと俺との関係とは全く違っていたと思う。何しろあにぃは神様からの授かりものなのだから、そのへんのガキのようには扱えない。トンは愛情込めてあにぃを育成したが、はじめからあにぃに対する畏敬があったはずだ。だから俺があにぃに甘えたようには、あにぃはトンに甘えられなかったと思う。あにぃがトンに乳首を吸わせてもらうなど、とんでも無いことだっただろう。子供の頃から、あにぃは立派な子供で無くてはならなかった。
 
 あにぃの肩が震えて、あにぃは嗚咽しはじめた。
 「あにぃ、一体何があったんだ?話してくれよ。ひょっとして、天に召される日が決まったのか?トンに言われたのか?」
 と俺も不安になって訊ねる。
 「そうじゃない。そうじゃない。そんなんじゃ無い」
 俺は、あにぃの背中をなで続けることしかできない。しばらくそのままでいると、俺も悲しいことをたくさん思いだして、俺まで泣き出してしまった。ずっと気を張っていたのに、一気に弱気の虫に侵されてしまった。
 15年後、俺はほんとうに天に召されるほどの男になっているんだろうか?その前に戦で殺されてしまっているんじゃ無いだろうか?いや、戦に出るどころか、あにぃが召されたら、毎日ぼーーっと海を眺めるだけの廃人になってしまうんじゃないだろうか?
 「あにぃ、行かないでくれよ、ずっとここで一緒に暮らそうよ、ここが駄目なら神様の居ないところに逃げようよ。あにぃは俺にしか甘えられない。俺もあにぃにしか甘えられないんだよ」と言って俺は泣きじゃくる。あにぃも泣き止まない。二人で背中を撫で合いながら、わーわーわーわー声をあげて泣き疲れるまで泣いた。


砂の岬72 Nefertiti

 「悪かったな、心配させて」
と泣き疲れて少し落ち着きを取り戻したあにぃが言った。俺はまだ気持ちが治まらないのに。
 あにぃは、俺を膝に乗せて、今日の種付けの話を始めた。
 「乳牛にどの程度の記憶があるものかは疑問だが、ヤラは4年前の戦のことを覚えているような気がする。俺はヤラの仇の総大将というわけだ。姦っている時は思いつかなかったが、ヤラは今日拘束されたのと同じ形で縄に縛られて連れて来られたんだと思う。今日ヤラを拘束したのはシンだ。4年前に乳牛を連れ帰る役目だったのもシンだった。シンは普段は乳牛には優しく接している。恐らくシンがヤラを拘束するのはそう何度もあるわけでは無いと思う。帰りに途中の川で水浴びしていたら、そんな事に気付いて、4年前の戦の記憶が蘇ってしまったんだ」
「ヤラの集落は全員が結束していて手強くて、この前の戦と違って、こっちにも死者がたくさん出た。もちろんあっちは全員皆殺しだ。あの集落は驚くことに乳牛まで手向かって来たんだ。あの戦で連れ帰ることができた乳牛は、ヤラ一頭だけだった」
 あにぃは俺の背中を撫でながら話し続ける。
 「死んだ仲間のこと、特に俺を守ろうとして死んだ年上の仲間たちのこと、俺が討ち取ったナギくらいの年齢の敵のこと、4年前の色々な記憶が急に蘇った。戦では、敵も味方も皆が鬼になる。鬼が入っている間は良いんだ。鬼が抜けた後になって急に思い出させられると、どうしようもなくなってしまう。こうやってナギの乳首を吸わせてもらうしか無くなる」とあにぃは言って、また俺の乳首を吸う。
 なんだよ、そんなことだったのかよ、俺たち二人に関することじゃ無かったのかよ・・と俺は腹を立てる。
 「勝手なもんだ・・人の気も知らずに」と俺は泣きながら、あにぃを俺の乳首から引きはがし、逆にあにぃの乳首を吸う。あにぃの乳首はすぐに固くなり、あにぃは目を閉じる。
 「一人ですぐ気持ち良くなって・・さっきまで泣いていたのに、ほんとに勝手なもんだ・・」
 自分のどうしようも無い気持ちをぶつけたくて、俺はあにぃを床に押し倒し、口にむしゃぶりつき、あにぃの胸を両手で揉む。あにぃがヤラにやっていたように、手荒に揉んでやるんだ、と思う。


 砂の岬73 Nefertiti

 生まれる前の記憶というものがあるような気がする、とあにぃは前に俺に言っていた。俺もあるような気がする。それは一体誰の記憶なんだろう?俺の父だった人の記憶なのか、俺を産んだ乳牛の記憶なのか?それとももっとずっと昔の俺の先祖の誰かの記憶なのか?
 あにぃの胸を乱暴に揉んでいると、こんなできごとが大昔にあったような気がしてきた。きっと俺が桃の中に入って川を流れてくる前の出来事なんだろう。その大昔の記憶に導かれて、俺はあにぃをいじっている。
 俺はあにぃの唇を吸いまくる。きれいだ、なんて綺麗な人なんだとたまらなくなって、額に落ちた髪を持ち上げ、額、頬、耳を次々に撫でては吸い上げる。どうしたら気が治まるんだ、やりたいことを全部してみたって全然気持ちがおさまらない。おさまらないどころか、やればやるほど、どんどん切なくなるばかりじゃないか。 どうしようもない気持ちで、俺はあにぃにみっしりと抱きついたまま、だんごむしのようになって、あにぃと一緒に床をごろごろ転がる。
 俺の太古の記憶はそこで途切れた。気がつくとあにぃが俺の上に乗って俺の身体中を吸いまくっている。
 「かわいい、かわいい、かわいくて仕方無い・・なんでこんなに柔らかいんだ。ナギには骨が無いのか?もうどうしようもない・・」
 あにぃも同じようなことを言って、どうすればおさまるんだ、どうすれば良いんだ、と言って俺をめちゃくちゃに撫でて吸って甘噛みする。
 でも、本当は二人とももうわかっている。好きだとか、かわいいとかいう気持ちは、何をしてみたところで治まるものじゃ無い。白いのを出してすごく気持ち良くなってみたところで、すぐにまた元の木阿弥なんだ。


 砂の岬74 Nefertiti

あにぃは採ってきた昆虫で遊ぶ子供のように俺の身体で遊ぶ。あにぃにいじられて、俺はあまりにもあっけなく白を飛ばしてしまった。あにぃとヤラが姦るところを見ていたせいだと思う。
 「ちきしょう、いじめてやろうと思っていたのに・・」と俺が言うと、あにぃは含み笑いをして、
 「俺がヤラを姦ったように俺を姦りたかったんだろう?」
と言う。俺がぎょっとしてしばらく絶句していると、
 「ナギ、お前が来てることは、トンにもシンにもわかってたぞ」
と言う。
 「どうしてバレたの?」
俺は自分の未熟さが恥ずかしく、赤面して両手で顔を蔽うと、あにぃは「かわいいな」と言って笑う。
 「それにしてもなんでわかった?」ともう一度訊ねると、あにぃは真顔で答える。
 「戦の経験のある男は皆、室内に隠れられそうな場所があるかどうか常に注意している。あの部屋で隠れられる場所はせいぜい2〜3箇所だ。そこを注意しないわけが無い。何か目立つドジを踏んだわけでは無いが作戦が稚拙だったんだよ。戦だったらナギは殺られていた」
 俺がくしゅんとしていると、
 「ナギははじめから天井の梁に隠れようと思っていたか?」
と聞く。
 「いや、あそこが一番良いとは思っていたが、他に隅の筒型や瓶のところも考えていた。ところが筒型や瓶が今日は置いてなかった」
と俺が答えると  
 「それが危ないんだ。ナギは天井の梁に誘導されてるな、罠だなとは思わなかったか?筒型や瓶はナギが来る前にトンが片付けておいたんだ。戦ではよくやる罠だ」
とあにぃは言う。
 「うかつだったよ」
 と俺は反省する。 
 「隠れること自体は完璧だった。俺は気配ですぐわかったが、お前の姿を見たわけでは無い。トンにもシンにも見られては居ない。でも皆にわかっていた。今までのナギの行動がいかにもそのうち覗きに来るな、と思わせるものだったからな」
 とあにぃは笑う。
「バレてしまってるんだから、次は俺について堂々と来い。その代わり、一人で乳牛の厩舎に行くのは厳禁だぞ。誰かについて行くのでも駄目だぞ」とあにぃは言う。

 次はヤラの最終日に行きたい。その次はサダの時。と言うとあにぃは、それなら次はトンとシンには控えていてもらって、ナギに俺の護衛をやってもらう。次はヤラは拘束無しでやってみよう。拘束無しを前提に、護衛として色々なケースを考えておくように、と宿題を出した。


砂の岬75 Nefertiti

 「護衛として色々なケースを考えておくように」
というあにぃの言葉を反芻して色々と考えた結果、前日にトンとシンに会って打ち合わせをしておくことにした。あにぃは戦の訓練として俺に護衛の経験を積ませようと思っているのだろうが、これは訓練では無くて、種付けの実戦なのだから。実戦には味方との十分な意思疎通がまずは必要だ。

 ヤラの精神は、俺たち人に近いようなところもあれば、動物に近いようなところもある、まあ乳牛はみなそういうもんだが、ヤラは少し種類が違う印象を持つんだ、とトンは言う。
 「元は人の雌だった他の乳牛とは全く違って、ヤラは元々動物だったのが進歩して、人に近い怪物になる途中の形態じゃ無いのか、と思う時すらあるよ」とトンは言う。
 「戦で連れてきたとき、あいつだけ乳牛の厩舎の奥に大事そうに隠されていたんだ。それがどういう意味合いでなのかは、あの集落が全滅してしまった今では誰にもわからないのさ」
 とシンも言う。
 「とにかくデカいよね。鳴き声も凄まじい。あにぃは拘束無しでというが、戦の恨みを持っていてあにぃに復讐しようとしている可能性は無いの?」俺は、あにぃが、ヤラは4年前の戦の記憶があるような気がする、と言っていたことも気になっていた。
 「2〜4日目を見る限り、ナギが覗いてた初日とはだいぶ違ってきてるんだ。あにぃに対してはとても従順になっている。ヤラがあにぃを傷つける可能性は低いとは思うが。まあ拘束を解くのははじめてだから、護衛が重要なことは確かだぞ」
 とシンは言う。

 相談の結果、俺は縄、鞭のほかに、念のため剣も持って行くことにした。そして、トンに麻酔性のある薬草や毒キノコなども用意して来てもらうことにした。


砂の岬76 Nefertiti
 
 ヤラは初日同様、シンに牽かれて、威風堂々という感じで小屋に入ってきた。この前天井から見ていた時と違い、同じ平面に立って見るヤラは実に迫力がある。だがこれも俺の予想のうちだった。ヤラはすぐに俺の姿を認めると、このガキは誰だ?何のために来ているんだ?というように、大きな青い目で俺をじっと見つめる。しかしこれも俺の予想のうちだ。なめられないように俺もヤラをにらみ返す。俺とヤラはしばらくにらみ合っていた。
 ヤラは鋭い目で俺を見つめたまま、俺のほうにのっしのっしと歩み寄って来た。俺は正直、少しびびった。馬だと思えばいいんだぞ、馬だと思えば、と心の中で繰り返す。
 ヤラは、ふっ、ふっと言いながら俺の脇の下の匂いを嗅ぐ。ヤラはゆっくりと後脚で立ち上がった。でもこれも俺の予想のうちだ。俺は身構えた。俺の視覚の隅であにぃも身構えたのがわかった。しかし、ヤラは予想外の行動に出た。
 ヤラはまるで俺の馬のように、俺に金色の髪の毛を擦りつけて懐き、俺の肩に前脚をそっと置き、桜色の唇を突き出して俺の髪の毛を舐めてきゅーーんと鳴いた。皆が驚いた。
 あにぃは、
 「これは困ったな、ヤラは俺よりもナギにやられたいのか?」と言う。
 「ナギがやっちまっても良いんだがな。生まれてくる子がどっちの種かわからなくなるのは不味いな」と冗談めかしてシンが言う。
 「冗談じゃ無いよ、なんとかしてくれよ」と俺は言う。突き飛ばして鞭でぶっ叩こうか?

  あにぃはしばらく他人事のように笑っていたが、「しょうがないな」と言って、あにぃの茂美の匂いをヤラに嗅がす。とたんにヤラの目が潤んで、私はこの人の持ち物だった・・と思い出したように、あにぃの前に自分から横たわった。そうか、薬草や毒キノコなど用意する必要は無かったんだ。あにぃの茂美には催淫性があったことを、俺は思い出した。

 「すっかり二人に懐いているようだから心配無いと思うが、もし何かあったら大声で俺たちを呼べよ」とトンは俺に言って、シンと一緒に母屋に退出した。

 縛らないの?とでも言うように、あにぃの前でヤラが自分からごろんと逆さに転がり、四つ脚を天井に伸ばして縛られる姿勢をとった。縛られると気持ち良くさせてもらえる、という刷り込みが出来てしまっているんだなと思う。
 「今日は縛らない」
あにぃはヤラに言う。
 「そうだ、ヤラ、今日は胸をナギに任せてみるか?」とあにぃは聞く。
それは素敵ね、と言うようにヤラが「あふん」と鳴いた。
 「えーーっ?」俺はびっくりして、でもあにぃの「やれ!」という目配せでヤラの柔らかい胸に手を触れる。柔らかい。触っているだけで気持ちが良い。俺のぽが勃ち始める。これは罠では無いのか?ヤラは俺たちに復讐しようとして色仕掛けをかけているんじゃ無いか?

砂の岬77 Nefertiti

 様々なケースを考えて護衛計画を練ったつもりだったのに、予想外の出来事が次々と起こって、俺は混乱していた。一度、落ち着こうと、ふーーっと深呼吸をして頭の中を整理してみると、全体の護衛計画を狂わせるような出来事は今のところ何も起こっていないと気付いた。
 ヤラが俺になついた事、俺が今ヤラの胸に触っている事、俺のぽが勃ち始めている事、それは全体の護衛計画に何の影響も無い事だ。ヤラが色仕掛けをかけていようがいまいが、俺にがっちりと抑えつけられ、あにぃにじっと監視されている今の状態では、ヤラには何も出来ない。

 俺は冷静さを取り戻し、あにぃが初日にやったのを真似て、ヤラの大きな胸に指を食い込ませ、ヤラの乳房を揉む。初日には全然鳴かなかったヤラだが、今日はすぐに大声で「ひゅーん、ひゅーーん」と鳴き始める。あの後の3日で、あにぃの調教がずいぶん進んだんだな、と思う。
 真っ白な乳房の中心にある突起がむくむくと持ち上がり先端を尖らせる。あにぃや俺のbtkと違ってどぎつく紅を塗ったような色で、犬の ぽ のようだ。そして俺たちのbtkより数倍も大きい。なんて露骨な色形をしているんだろうと思う。btkが、妊みたい、妊みたい、と言っている。乳牛には二つ乳のと四つ乳のが居るという。四つ乳のやつは胸と腹とに乳があるのだという。二つ乳のヤラでもこんなに露骨なのだから、四つ乳の乳牛はいったいどんなだろう。

 じっと俺とヤラを観察していたあにぃは、ヤラの股の間に手を入れて「もう濡れたぞ。ナギは上手だ」と言う。
 「あにぃを鳴かせてるうちに、上手になっちまったんだな」俺はさらに調子づいてヤラをひゅんひゅん鳴かせる。あにぃはヤラの股から手を離し、また俺とヤラをじっと観察しはじめた。
「何だよあにぃ、これじゃあまるで俺が種馬であにぃが護衛じゃ無いかよ」
と言うと、あにぃは「ナギは種馬じゃ無いぞ、当て馬だぞ」と言う。

 「ひゅーーん、ひゅーーん」ヤラが胸を突き出してのけぞり、自分から股を大開きにしてきた。「入れ替わろう」とあにぃは言って、俺をヤラの下半身にまわし、自分はヤラの頭側に回った。
 ヤラは、金色の茂美にふちどられた器官をむき出しにして転がっている。近くで見るヤラの器官は、思ったより圧迫感が少ない。いくらヤラが大柄だとは言っても、さすがに馬のものとはだいぶ違い、皆も言っていたとおり蛤のようだ。そっと探ってみると、自然にするっと指が吸い込まれるところがある。
 「ナギ、穴の位置はわかるか?」とあにぃが聞く。
 「ああすぐわかった。結構デカイ穴だね」
 あにぃは膝にヤラの頭を乗せて、ヤラの口の中を指で弄ったり、ヤラのbtkを弄ったりして、ヤラの反応を観察している。俺はこれも初日のあにぃをそっくり真似て、ヤラのふさふさの下毛のまわりをこねて、焦らしたり攻めたりする。俺たちに復讐しようなどという気を全く無くすまで、完膚なきまでにやっつけてやらないといけないと俺は思う。
 「あ゛ーーぉ、あ゛ーーぉ....わ゛ーーぉ、わ゛ーーぉ」と、獣のようにヤラが鳴く。はらみたくて、はらみたくて、もうどうしようも無い、というように鳴く。俺のぽがまたむくむくと固くなる。


砂の岬78 Nefertiti

 俺は、あにぃがヤラの胸を弄るのをそっくり真似て、ヤラの下腹部を弄ってみた。さっと撫でるようにあにぃが胸を擦れば、俺もそれに合わせてさっと下腹を擦る。あにぃが胸をぐにゃぐにゃとこねれば、俺もぐにゅぐにゅと下腹をこねる。「乳牛ってのはすごくいい手触りのもんだね」とあにぃに同意を求めながら、俺はあにぃと同じことをする。あにぃと同じ仕事をしていると実感できるのはとても楽しい。あにぃも俺も ぽ を勃てている。いじり方によってヤラの鳴き声が変わる。二人でさっ、さっ、と撫でるときは、あふっ、あふっと鳴く。二人でぐにゃぐにゃぐにゅぐにゅとこねたときは、う゛ーー、う゛ーー、う゛ーーと鳴く。ヤラは俺たちのどちらが何をしているのか、自分のどこがどう感じているのかが、混ざり合ってわからなくなっていると思う。
 「ヤラ、今どっちで感じてる?ナギの手か?俺の手か?答えようによっては俺はもうやめるぞ?」
 あにぃはヤラのbtkを転がす手を止めてヤラに聞く。右手で感じてるのか?左手で感じてるのか?と聞くようなものだ。あにぃも無理なことを聞く、と思いながらもヤラをからかってみたくなり、俺も真似をして手を止める。
 「俺の手だよね?あにぃの手だなんて答えたら俺はやめちゃうよ?」
 ヤラは、胸も腰も両方突きだし、弓状に反らせた身体を揺する。私の身体はこんなに美味しそうに柔らかくなっているのに、二人にがつがつ食べて欲しいのに・・・。
ちょうど食べごろに熟した白い豊満な身体が、俺の目の前に転がる。
 「うわぁ、いい眺めだ。あにぃと二人でこんなのをやっつける、ほんと最高だ」
 と俺が言うと、
 「遊んでるわけじゃ無いんだぞ。目的はヤラの受胎なんだから。ヤラの穴の中には俺が全滅させたあの集落のたましいの塊が潜んでいて、ヤラが俺に妊ませられるのを阻止しようとしているんだ」
 とあにぃは場違いな不思議な事を言う。
 「ヤラの穴に俺の白を吸わせるだけではだめなんだ。吸わせたとしても、やつらが元気なうちは、俺の白の塊を溶かしてしまう」
 俺はヤラの穴のまわりをゆっくりと揉んでやる。ヤラは泳ぐように腰を上下させて悶え、「ぉーー、ぉーー」と鳴く。
 「ヤラ、もう入れたいんだろう?でもまだ待て」とあにぃはヤラに語りかける。
 「ヤラは、俺の白を吸う前にまずはヤラの中の塊をやっつけておかないといけない。俺の白を勝たせるためには、まずはヤラに、やつらに勝ってもらわないといけないんだ」
 俺はあにぃに訊ねる。
 「あにぃは、ヤラの穴の中で戦いが起きていると感じているのか?だからヤラはこんなに激しく鳴き叫ぶんだと?」
 「そのとおりだ。ヤラはよがってもいるが、痛がり、苦しがってもいるんだ」とあにぃは言う。「俺たちはヤラを助け、救ってやらないといけない」

砂の岬79 Nefertiti
 
 「あにぃ、ヤラの穴の上のほうに、小さい豆のようなもんがあるぞ」
 それはだんだん大きく固くなってきた。そっと指先でつまんでやるとヤラは「あ゛ーーーっ」と鋭い声をあげた。
 「それはヤラの ぽ だ。ナギ、舐められるか?」
 俺は、そっと舌先を付けてみる。ヤラは大声をあげ、脚を全開にして腰を浮かせ、中心を俺の顔に擦りつけてくる。透明な液体が俺の顔になすりつけられる。あにぃと俺ほどの仲でも自分からなすりつけるなんて失礼なことはしないぞ、ずいぶん破廉恥なヤツだな、俺の衣が汚れてしまう・・と思うが、その破廉恥さにかえって興が乗って、そうくるならもっとよがらせて、一体どこまで破廉恥になるのか見てやろうと思う。俺はとうもろこしを食うときのように顔を左右に動かして、大開きになったヤラの股を舐める。俺の舌が豆に当たるたびにヤラは声をあげ、全身をぴくっぴくっとさせる。年上に乳牛のことを聞いたとき「豆をいじるのは面白いものだぞ」と言っていたのはこういうことをしていたんだろうなと思う。
 穴の中に指を入れてみると、穴の中にも固くなっているところがある。中の固いところと豆とは、肉の中で筋のようにつながっているように思った。つまりヤラの ぽ は身体の中に埋まっていて、先っぽだけが身体の外に出ているのだろう。豆は ぽ の先っぽだと思っていじれば良いんだなと思う。
 俺はあにぃのぽの先をやっつけるつもりでヤラの豆を舌で突きながら、あにぃがこの前やっていたように、穴の中に1本、2本、3本と指を入れ、結局親指以外の4本を全部入れて中でこねくり回してみた。ヤラが俺の上半身を絞めるように俺に脚を絡みつかせてきた。ヤラの声が「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」と拍子を刻み始める。

 「あにぃ、ヤラの穴がぱくぱくしてきたよ」
と、俺が言うと、
 「ナギ、仕上げの合図だ。交代だ」
 あにぃはさっと下衣を脱ぎ捨て、俺と場所を代わって手際良くヤラの穴に ぽ を差し込む。俺は上に回ってヤラの胸を弄りながら、ヤラの顔を覗き込む。
 「ヤラ、気持ちいいか?」
 ヤラののけぞった逆さまの顔は、整っていて美しい。ヤラはぎゅっと瞼を閉じ、真剣な顔をして喘いでいる。真剣な顔のヤラには男前な美しさがある。男に生まれていたら あにぃのような英雄になっていたかも知れないのに、と俺は思う。乳牛に生まれてきてしまったばかりに、こうして男にいじられ、破廉恥な格好でよがり、姦られるだけの人生しか知らずに、若くして生を終えてしまうのだろう。
 ヤラはとても苦しそうだ。まるでヤラの穴の中の塊がヤラの首を絞めているようだ。ヤラは、あにぃがぽを抜き差しするたびに、卵型に空けた口をぱくぱくさせて必死に息をする。ヤラの穴の中もきっとさっきのぱくぱくを続けているのだと思う。
 身体の中心をあにぃに刺され、ヤラは仰向けの蛙のようなぶざまな格好で固まっている。あにぃはこの前と同じように、ぽをヤラの一番奥まで刺しこんで腰の動きを止めた。ヤラは悲鳴のような大きな鳴き声をあげ、身体全体をきりもみするようにあにぃの腰に自分の腰を擦りつける。悲鳴をあげているのはヤラ自身なのか穴の中の塊なのか。両方が混ざり合ったものなのか。
 「ヤラ、俺が見守ってるぞ」俺はヤラを激励する。「あにぃの白の塊をしっかり守って、あにぃの仔を産むんだぞ」
 突然、ヤラが俺の手を振り払ってさかさまの俺にぎゅっと抱きついた。ヤラの上脚が俺の背中を撫で回している。危ないか?と一瞬思ったがいざとなった時の打つ手は考えてあると思い、俺はヤラのしたいままにさせておいてやった。あにぃも ぽ をヤラにぐっと突き刺したまま俺たちの様子を見ていたが、このままで良いと言うように、俺に向かって頷いた。
 ヤラに抱きしめられ、次第に顔がヤラの柔らかい乳房に完全に埋まってしまった俺は、ヤラの心臓の鼓動と、ヤラの乳房を通して感じられるあにぃとヤラの身体の駆動だけを感じていた。しばらくして「あっ、あっ、あーーーっ、あーーーっ」というヤラの歓喜の声が聞こえ、俺の背中にヤラの指が食い込んだ。ヤラが硬直して痙攣しているのがヤラの乳房越しに伝わった。ヤラに白を吸われたあにぃの獣の唸り声が聞こえた。

砂の岬80 Nefertiti

 トンとシンが入ってきたとき、ヤラはまだ俺を抱きしめて涙を流していた。シンが驚いて、
 「おいおい」と言うと、あにぃは
 「大丈夫、ナギは当て馬だ」と言って、俺のぽを指さす。下衣の下で俺のぽが突っ立っているのを見てシンは、
 「アニは見かけによらず悪いことをする」と苦笑する。
 「来年は、ナギにヤラを姦らせるのか」とシンがトンに聞くと、トンは、
 「いや、来年もアニだ。ナギにはアニとヤラの仔を姦らせるつもりだから」
と言う。あにぃの仔を俺が姦る・・俺はワクワクした。
 「それなら、ヤラ、是非、乳牛を産んでくれ。乳牛は何歳になれば姦れるんだ?」
と、俺は声を弾ませて言う。
 「早くて今のナギくらいの歳だな」
とシンは言う。なんだ、ずいぶん先の話だな、と思う。
 「ヤラが受胎すればの話だし、受胎したとしてもどんな仔が産まれてくるのかにもよるだろう?」とあにぃが言った。
 「そうだな。こればかりは神のお恵みってことだ」
とトンは言う。
 「今日のヤラは実に良く鳴いたんだ。もし今日ので受胎したとしたらナギの功績だよ。護衛としても気を配っていた」
とあにぃは言った。

 ヤラに抱きしめられながら、あにぃとヤラの仔を俺が種付けすることを夢想し、俺は色々なことを想う。
 ヤラは会ったとたんに俺に懐いた。戸惑いながらも俺は、ヤラはガキの男を見る機会などほとんど無かったろうから、俺のことを珍しいとか可愛いとか思って懐いてきたのだろうと思った。しかし、今、ヤラは俺を身内と感じているのでは無いかという気が少ししてきている。
 今、俺は ぽ を半端に勃てたままヤラに抱きしめられている。しかし、今ヤラの穴に俺の ぽ を入れてすっきりしたいという気持ちにはこれっぽっちもならない。それは俺自身の気持に原因があるのでは無く、ヤラの抱きしめ方が、性的なものとは程遠いことに起因するんじゃないかと思う。
 俺が気になり始めているのは、俺とヤラの血統のことだ。俺の血統は全くわからない、ヤラの血統も全くわからない、ひょっとしたら俺とヤラの血統が近いという可能性は無いのか?

 直感などというものは当てにならないものだと俺は常日頃思っている。しかし獣の直感を舐めてはいけないとも思っている。
 俺自身には、よくわからないのだ。俺自身の獣性は俺に対して何も語りかけてこない。ヤラの態度を通してそんなことを考えさせられているだけだ。ヤラにぎゅっと抱きしめられながら、俺は不安と愛情の両方に抱きしめられていた。

 帰り道、俺はあにぃに俺の不安を話した。あにぃは、
 「ナギ、血統というのは、実は俺たちの場合は、あまり考えても仕方無いことだぞ。俺は風神100パーセントの子だ。だから俺の血は集落の象徴のように言われている。しかし、その風神自身の血統についての記録は何も無い。だから俺もナギと同じで何もわからない者なんだ。そのあたりがナギと俺がこの集落の皆と根本的に違うところだ」
 と、言った。
 「あにぃは、不安にならないのか?」と俺は聞く。
 「ときどき気持を制御できなくなって泣くこともある。でもそれは不安とは違う。なぜならそれが当たり前のことだからだ」
 俺はあにぃに抱きついて泣いた。ヤラも同じような気持ちで俺に抱きついていたのかも知れないと思った。

奇跡の血量 の最初から読む

Top Page へ